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絵本

2019年09月10日
 こんにちは。アトリエくまの堀江です。また暑くなってきましたねー。なんでもこの残暑は10月あたりになっても続くとか、続かないとか。なんだか天気が読めないですね。とはいえ、洗濯物なんかはすぐ乾くわけで、悪いことばかりでもないのかなぁ?でも、その分たくさん汗をかいて洗濯物が増えるから帳消しなのかなぁ?

 さて、今回は絵本について~♪

 なぜ、絵本についてかというと、先日新宿にある損保ジャパン美術館にて「レオ・レオーニ展」に行ってきて、それがけっこう良かったってことです。レオ・レオーニ氏といえば、スイミーという絵本が日本では断トツで有名なんじゃないかなぁと思います。今も載っているかは謎ですが、ボクのころは小学校の教科書に載っていました。他にも、フレデリックとかあおくんときいろちゃんとか、一度は目にしたことのある作品を残しています。
 
 大人になってからレオ・レオーニ氏を意識したのは確かボクが30歳くらいのころ、平行植物という分厚い本を手に入れてからでした。この本は学術書のような体裁をとってはいますが、中身は全部、氏の創造上の植物について。よくこんなに忍耐強く、嘘を並べて膨らませることができたなと思い、何だか普通の絵本作家とは違うなぁと思ったのを覚えています。

 スイミーに関しては、小学校のころに読んで、内容までよく覚えていましたが、今考えるとこれがなぜ名作を言われるのか?よくわからないといった印象でした。でも、何だかひきつけられる。なぜだろう?という感じ。
 スイミーのあらすじを知らない方用にちょっとだけ内容を話すと、赤い小魚の群れの中に1匹だけ黒い魚がいて、まわりにうまく溶け込めないでいる。これがスイミーです。ある日赤い魚はまぐろに襲われて食べられてしまう。スイミーは逃げることができ、しばらく放浪すると同じような赤い魚の群れと出会い、そこに交わり、最後は小さな魚の群れを巨大な魚の形に編成し、その目の部分を自分が補い、周囲の危険で大きな魚を追っ払うという内容です。
 
 なんだか、そのへんにころがっているような話…そんな気もします。でも、レオ・レオーニ氏はこれはアーティストの役割について言及もしていると展覧会の中に上映されている映像で語っています。普段はなんとなく溶け込めず存在している。でも時がくれば、なにものかを想像し、みんなの頭の中の思考や何かのシステムを一部変えてしまうような仕事をする……いわれてみれば、スイミーのやったことは優れた現代アーティストがよくやるような事柄です。
 日本ではアートは娯楽として迎えられている感があります。学問としてとか、社会を変えてしまうようなカンフル剤だと考えている方はとても少ないと思います。でも、確かに学問としての役割はあり、劇薬ともいえるアート作品があることは事実です。このようなことを子どもたちにもわかりやすく説明するにはどうしたら良いのか?知恵をしぼってできたのが、スイミーだったわけですね。そして、ぼんやりとではあるけれど、そのバトンを受け取ってアートの道半ばにいるボク。そして子供たちに何か伝えられることがあるのかな?と考えて教室を開いていることは、とても感慨深いことだなと思いました。

小さなころに読んでいた本が大人になって、その意味合いや深さなどにおいて違った物語のような感じがする。こういうことはよくあることです。また、そういうことが大人になったり、歳を重ねたりすることの楽しみの一つなのかなぁなどとも思います

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相模原市緑区西橋本の子ども絵画造形教室 アトリエくま 堀江和真